衛星設計コンテストについて

実行委員会会長 就任挨拶

衛星設計コンテスト実行委員会会長 井上 一

このたび、衛星設計コンテスト実行委員会会長に就任することになりました。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。衛星設計コンテストは、間もなく、創設から30年を迎えます。この間、歴代の会長をはじめ、多くの方々のご努力と、創意あふれる多くの若い人たちの参加に支えられ、実り多いイベントに成長してきました。私も、この衛星設計コンテストを、さらによいものにするよう微力ながら努力していく所存でございます。

衛星設計コンテストは、高校生から大学院生までの若い人たちに、宇宙空間を使う新しいアイデアを考え、さらには、そのアイデアを実現する小型衛星を設計してもらうものです。今や、宇宙空間には、さまざまな天体観測衛星や月・惑星・小惑星探査機が送られています。いくつもの衛星が、大気・気象・地表等の地球環境監視を行い、放送・通信・GPS衛星等が、私たちの便利な日常生活を支えています。このように、宇宙空間の活用は、すでに私たちにとって欠かせないものになっていますが、人類の未来への諸課題を考えるとき、宇宙空間の活用の重要性は、ますます大きくなっていくことでしょう。この衛星設計コンテストを通じて、若い人たちが、宇宙開発の将来、ひいては、人類の未来を切り拓く人材として育ってくれることを願うものです。

しだいに利用が進んできているとは言え、宇宙空間には依然として大きな未開拓・未知の領域があり、私たちの好奇心・挑戦心を強くそそります。衛星設計コンテストの出発点は、10代の青少年がもつだろう、すなおな宇宙空間への好奇心・挑戦心です。この衛星設計コンテストは、彼らが、その好奇心・挑戦心を一歩進めて、自ら宇宙空間に手を出してみるようになることを、後押ししてあげるものと言うことができるでしょう。

しかし、宇宙空間を利用して何かをやることは、そう簡単なことではありません。まずは、人工衛星とはどういう原理で動いているもので、人工衛星に目的の機能を果たしてもらうためにはどのような基本機能が必要かを、きちんと知っておく必要があります。そして、その理解の上に、人工衛星の限られた体積・重量・電力等を必要な機器にいかに適切に配分して、当初の目的を果たすかの最適設計が求められます。この衛星設計コンテストの参加者には、それらの基本をしっかり身につけ、できれば、プロの研究者・技術者への道を目指してもらいたいと思います。この衛星設計コンテストでは、宇宙空間の利用に関連した5つの学会と宇宙開発に関連する機関・企業からのプロの研究者・技術者が、参加者からの提案に対し、繰り返し質問やアドバイスを投げ返すシステムがとられています。このやりとりを通じて、参加者は貴重な勉強・訓練の機会を得ることになります。

以上、衛星設計コンテストに対する私の理解と期待を書かせていただきました。この設計コンテストの活動は、いくつもの学会・関連機関・企業からの奉仕活動と財政支援によって支えられています。それらの学会・機関・企業と関係各位に、あらためてお礼を申し上げるとともに、今後ますますのご協力をお願いして、この就任挨拶をしめさせていただきます。

令和3年3月
衛星設計コンテスト実行委員会会長 井上 一

コンテスト概要

衛星設計コンテストは高校生から大学院生までの学生を対象にした、コンテスト形式の教育プログラムです。
参加者は、小型衛星をはじめとする様々な宇宙ミッションを創出し、その設計を行います。審査員は、着想点、創意工夫、基礎的な技術知識、将来性、等の様々な観点からすぐれた作品を選考(第1次選考)します。審査員は、すべての作品に対して、学生の皆さんの意欲継続・将来へのステップアップに向けたアドバイスを行い、再挑戦も期待しています。

1993年(平成5年)に第1回大会を開催して以来、毎年行われています。第1回大会で電子情報通信学会賞を受賞した千葉工業大学の作品、鯨生態観測衛星「観太くん」は2002年に打上げられました。